少しずつ気温も下がり、乾燥しやすい季節になりましたね。手洗い・うがい、マスク着用など感染予防を取り入れましょう。 さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!
11月14日は「世界糖尿病デー」です。日本では、世界糖尿病デーのモチーフ「ブルーサークル」にちなみ、各地の建造物をブルーにライトアップして啓発活動を行っています。 なお、日本人の多くは体質的に糖尿病になりやすい遺伝子を持っており、この半世紀、食生活が急速に豊かになったことで糖尿病患者数が、20倍にも増えている現状があります。 そこで今回は糖尿病につながりやすい『高血糖』に関するお話です。
【血糖値】 血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。 血糖の濃度が上昇すると、すい臓から分泌されるホルモン「インスリン」の働きにより、ブドウ糖が身体の細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。また、余分なブドウ糖はグリコーゲンへと形を変え肝臓や筋肉に貯えられます。 血糖値が下がってくると、貯蔵したグリコーゲンをブドウ糖に分解させエネルギーとして使い、血糖値を正常に戻します。
血糖値は食前と食後で変化しますが、通常であれば食前(空腹時)の血糖値は約70~100mg/dlの範囲です。
【HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)】 赤血球の成分であるヘモグロビンの一部にブドウ糖が結合したものの濃度のことで、過去1~2ヵ月間の血糖値の変動を示しています。4.6~5.5%が基準値となります。
その1「動脈硬化を引き起こす!」 血糖値が高い状態や、急激な血糖値の上昇は、血管を傷つけ、動脈硬化を自覚症状なく進行させます。動脈硬化が起きると、ある日突然、虚血性心疾患や脳梗塞などの病気を引き起こし、要介護状態に陥ったり、場合によっては死に至ることがあります。
その2「糖尿病へと進行する!」 血糖値が慢性的に高い状態が続いている場合、糖尿病と診断されます。糖尿病は自覚症状がほとんどなく進行しやすい病気です。 また、血糖値が高い状態が続くと血液中のたんぱく質の糖化反応が進み、静かにゆっくりと悪影響が広がっていき、さまざまな合併症を招きます。
成人の失明原因、第1位!「糖尿病網膜症」
人工透析原因、第1位!「糖尿病腎症」
足先・足裏のしびれや感覚が低下する!「糖尿病神経障害」
下肢の切断につながることも!「糖尿病足病変」 神経障害と末梢の血管の障害により、下肢の関節やかかとに潰瘍や壊疽(えそ)が見られる。
悪循環を引き起こす! 「歯周病」 糖尿病は歯周病を憎悪させ、歯周病は糖尿病を悪化させる。
すい臓から分泌されているホルモン「インスリン」の分泌が少なくなっていたり、働きや効きが不十分であると、食後の血糖値が急上昇しやすく、また常に血糖値が高い状態となります。
特定健康診査における特定保健指導判定基準では、空腹時血糖100㎎/dl以上またはHbA1c5.6%以上です。 また、空腹時血糖126㎎/dl以上またはHbA1c6.5%以上である場合には、糖尿病の可能性が高くなるため、受診をお勧めしています。
なお、空腹時の血糖値は正常であるにも関わらず、食後の血糖値が大幅に高くなるという場合もあり、「隠れ糖尿病」と言われます。血糖値の波が大きいことで、血管の壁を傷つけやすい食後の高血糖を正確に調べるためには、75g経口ブドウ糖負荷試験という検査が必要になります。
【高血糖の主な要因】
加齢
遺伝的要因
内蔵脂肪型肥満
運動不足・筋肉量の低下
1日1食や2食などの欠食がある
食事内容が偏っている、野菜摂取が不足している
など
一つ、「内臓脂肪を減らすべし!」 内臓脂肪が蓄積すると、インスリンの働きが悪くなります。 食事量や有酸素運動などにより内臓脂肪を減らす・ためないことを意識していきましょう。
二つ、「3食食べる、食事のリズムを整えるべし!」 血糖値の波を小さくするためには、欠食はせず、3食のリズムを整えていきましょう。
三つ、「糖質中心の食事を見直すべし!」 血糖値を上げる材料である糖を含む食べ物の量が多いときには少し調整しましょう。具体的には、おかわりをしない、また、玄米、全粒粉のパン、そばなどは吸収が遅い糖質が含まれているため、食後の高血糖を抑えることができます。
四つ、「ベジ・ファーストを心がけるべし!」 食物繊維(野菜・海藻類・豆類)を先に摂ることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
五つ、「食事はよく噛んでゆっくり食べるべし!」 糖の吸収が穏やかになり、また食べ過ぎによる糖質の過剰摂取も防げます。
六つ、「運動量や活動量を増やすべし!」 運動により血中のブドウ糖を消費します。 短時間の運動でもこまめに行うことで血糖値の上昇を抑えます。 座位時間を減らす、歩く時間を少しずつ増やすなど、活動量を少しずつ増やしていきましょう。
高血糖を決して甘くみてはいけません。血管を傷つけ、健康を害し、今後の生活・未来に大きな影響があります。そのため、健康診断で血糖値を確認しながら、都度生活習慣を見直していきましょう。 また、すでに血糖値やHbA1cが高い場合には、受診や生活習慣改善をおこないましょう。「今」の積み重ねがあなた自身の「未来」につながります。
※参考資料
世界糖尿病デーHP https://www.wddj.jp/
厚生労働省HP e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
一般財団法人日本予防医学協会 HP https://www.jpm1960.org/ 本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。 Copyright (c) The Association for Preventive Medicine of Japan. All rights reserved.
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