この度の台風21号並びに平成30年北海道胆振東部地震により被災された全ての方に、心よりお見舞いを申し上げます。また、皆様やご家族様のご無事とご健康を願い、一日も早いご復興を心よりお祈り申し上げます。 さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!
最近では毎年のように冬季に発生するインフルエンザ。今年度も既に一部学校での集団発生による学級閉鎖の情報も出てきており、今後さらなる流行が懸念されます。 そこで今回は『インフルエンザ』に関するお話です。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症ですが、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」です。 【感染症発生動向調査週報(IDWR)2005年第8号掲載】
飛沫感染といい、咳やくしゃみをすることで、ウイルスが3~5メートルも飛ぶため、それらを吸い込んだ周囲の方に感染し、流行しやすくなります。 また、インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。そのため、1年に2回かかる方もいます。
【典型的な症状と経過】
突然の高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛が現れ、咳や鼻水などの上気道症状が出現します。 普通のかぜ症候群と比較し全身症状は強く出ますが、1週間程度で軽快していきます。
なお、子供ではまれに急性脳症を起こすことがあります。また、高齢者や呼吸器・循環器・腎臓の慢性疾患を持つ方、糖尿病・免 疫不全の方は、肺炎を伴うなど重症化しやすいため、注意が必要です。
【ウイルス排出期間】 一般的に発症前日と発症後少なくとも3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出すると言われています。出勤や外出などの可否については、医師の指示に従うようにしましょう。 参考までに、学校保健安全法では、インフルエンザによる出席停止期間を『発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで』としています。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、その限りではありません。
予防するための対策として、
流行期には人込みを避ける
外出時のマスクの着用
外出後のうがい・手洗いの励行によりウイルスの侵入を防ぐ
十分な栄養や休養を取ることにより免疫力を高める
十分な加湿や換気によりウイルスを除去する
などが挙げられます。
しかしながら、予防の基本として重要なのは流行前にワクチン接種をすることです。日本では流行のピークが1月末~3月上旬のため、12月中旬までにはワクチン接種を終えることが望ましいとされています。
参考までに、インフルエンザワクチン接種後効果が出現するのは約2週間後と言われ、効果は5か月間程度持続すると言われています。
ワクチン接種によって感染することや発症することを完全には予防出来ませんが、高齢者においては死亡の危険を80%、入院の危険を約50~70%減らすことが期待され、重症化を防止してくれます。 65歳以上の高齢者や、60歳以上65歳未満の心臓や腎臓・呼吸器の疾患を持たれている方は予防接種法に基づく定期のインフルエンザ予防接種対象者となっています。感染予防、重症化予防のために、医療機関にてご相談ください。
なお、毎年ワクチン不足の情報がありますが、今シーズンは過去5年間の平均使用量を上回る2650万本を製造する予定と厚生労働省からの報告があります(平成30年9月12日)。
予防を講じても、残念ながら発症される方もいます。 突然の発熱や全身倦怠感、関節痛や筋肉痛などの症状が出現した際には、医療機関への受診を検討してください。診断するための迅速検査があります。 ただし、症状出現時から半日程度経過しない際は、ウイルスが増殖している段階にて、本当はインフルエンザなのに検査が陽性として出ない可能性があります。 高齢者や持病をお持ちの方などに関しては、検査ができる段階まで我慢することで重症化する懸念があります。体調が悪い際は早期に医療機関にご相談ください。
もちろん、医療機関で蔓延させないためにも、マスク着用などの対応は必ず行うようにしましょう。
毎年10月下旬頃よりインフルエンザの発生報告数が増加しています。普段より抵抗力を高める身体づくり、マスク着用やワクチン接種による予防策を心掛けるようにしましょう。
内科医 伊佐
NIID 国立感染症研究所ホームページ https://www.niid.go.jp/
厚生労働省ホームページ インフルエンザQ&A https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
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