9月の和風月名は「長月」ですね。夜が長い月「夜長月」が略されたともいわれています。夜空を見上げ月をめでる、そんな時間を作ってみませんか? 医師からのメッセージ ~胃がんを知って、検診を受けよう!~ 「国立がん研究センター がんの統計2021」の2020年推計値によると、胃がんは、男女ともに罹患数・死亡数ともにトップ5に入る疾患で、年間10万人以上の方が胃がんにかかっている計算に!!
男性 罹患数:第2位 死亡数:第2位 女性 罹患数:第4位 死亡数:第4位 また、胃がんは、「早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合があります。」※1 そのため、早期に見つけて治療につなげていく必要があるのです。 そこで今月は『胃がん』に関するお話です。 『胃がん』の要因と予防 「胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因で癌細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。」※1
【要因】 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、喫煙、食塩や高塩分食品の摂取、多量の飲酒
【予防】 禁煙、バランスの良い食事、減塩、身体活動、適正体型 喫煙胃がん 厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会報告書によると、喫煙と胃がんとの関連性は、「科学的証拠は,因果関係を推定するのに十分である(レベル 1)」と判定されている。 飲酒胃がん 多量の飲酒が口腔、咽頭、食道といった上部消化管の癌をおこしやすいことが知られている。胃でも同様に、飲酒により胃の入り口の噴門(ふんもん)部の癌になりやすい傾向がある。
食生活胃がん 野菜や果物の摂取が胃がんの発生リスク低下につながる可能性が示されている。一方、塩分の過剰摂取が日本人の胃がんリスクを高くする原因の一つとされている。
ピロリ菌と胃がんの関係 ~ピロリ菌の歴史~
ヘリコバクター・ピロリ菌は地下水や井戸水から感染する可能性があるとも考えられており、比較的衛生環境の整っていなかった時代に生まれた世代に感染率が高い(60歳以上で80%が感染している)と言われています。
~ピロリ菌の検査~
胃がんになったら? 症状がみられる場合、胃の不快感や胃痛、胸焼け、食欲不振、胃での出血による血の混ざった黒い便(タール便)や貧血などがあります。同様の症状は胃炎や胃潰瘍でも出現するため、胃がんが見過ごされることも。
胃がんの治療法には内視鏡治療、手術、薬物療法などがあり、がんの進行の程度や患者さんの体の状態、年齢、希望なども含め主治医と相談しながら決めていくことになります。
検診で早期発見・早期治療へ! 検診で発見された癌のほうが、症状が出てから病院の外来で発見された癌より、生存率が高いと言われています。検診により早期の段階の癌を発見することが極めて重要です。 胃X線検査 造影剤のバリウムと胃を膨らませるための発泡剤を飲んで検査を行う。バリウムを付着させた胃粘膜の凹凸をレントゲンで撮影し異常を見つける検査。胃の粘膜を見やすくするためゲップは我慢が必要。 胃内視鏡検査 口や鼻から小型カメラがついている細い管を挿入し、胃を直接観察し、病変や出血を確認する。鼻やのどに管を通すときに嘔吐反射が起きることがあるため、鎮静剤を利用することもある。
最後に・・・ 数年前にがん検診をうけて問題なかったから大丈夫というわけでは決してありません。癌がまだ小さなうち、つまり早期に発見できれば、治癒率はぐんと高くなります。
健康に不安がなく「自分だけは大丈夫」と思っていても誰でも癌に罹るリスクは持っています。健康保険組合等で補助金が設けられていることも。
消化器外科医:天池 ※今回の記事は次の資料を引用・参考にして作成いたしました。 ※1国立がん研究センターがん情報サービス 胃がん
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