秋の夜長、皆様のお住まいの地域では、虫たちの合唱は聞こえてきますか? さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!
最近食べこぼすようになった、食事中むせることが増えたなどの症状はありませんか?このささいな症状は「口腔機能の低下・虚弱(=オーラルフレイル)」の兆候と言われており、見逃していると、将来、要介護状態を招く恐れがあります。 そこで今回は『オーラルフレイル』に関するお話です。
【フレイル】 虚弱を意味する「Frailty」からなる造語です。加齢に伴い、心身の機能が低下し、生活機能障害や要介護状態に陥りやすい状態のことを指します。 虚弱や衰弱と聞くと、加齢に伴う不可逆な衰えと捉えられがちですが、フレイルは適切な介入によって改善が見込めます。
【オーラルフレイル】 フレイルの1つで、口腔機能の虚弱を意味しています。 歯周病や虫歯の悪化による歯の喪失、噛む力・飲み込む力の低下から、硬い食品や繊維質の多い食品を避け、柔らかい食べ物を好むようになります。 このことは、さらに、噛む力・飲み込む力の衰えを加速させていきます。また、食事のバリエーションも限定され、炭水化物や糖類が多くなり、ビタミン・ミネラル・食物繊維・たんぱく質の摂取不足から、よりフレイルの状態へと近づいてしまいます。
【オーラルフレイルの兆候】 滑舌の低下、食べこぼし、むせやすさ、噛めない食品の増加など
1、歯周病・虫歯予防 【毎日のケア】 第一に毎日の歯磨き(ブラッシング)を丁寧に行いましょう。 また、歯間ブラシやデンタルフロス・洗口剤などのケアも取りれていきましょう。
【専門的なケア】 歯科医院などで定期的に歯周病・虫歯のチェックや、歯石除去・フッ素塗付などのケアを行いましょう。
2、噛む力・飲み込む力を強くする・維持する 【パタカラ体操】 「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」と続けて発音することで、噛む・飲み込むときに使う口の周りや舌の筋肉を鍛えます。ポイントは、口を大きく開け、はっきり大きく声を出すことです。 「パ」・・・上下の唇がしっかり閉じる。 「タ」・・・舌先を上の前歯の裏側に押し付ける。 「カ」・・・舌の奥が上に向かって持ち上がる。 「ラ」・・・舌先をそらせて上顎に当てる。
【唾液腺マッサージ】 唾液には、食べ物をまとめて送り込む、口内の洗浄・粘膜保護などの働きがあります。マッサージで唾液の分泌を促します。 「耳下腺」 指全体で耳の前、上の奥歯あたりを後ろから前に円を描く。
「舌下腺」 両手の親指をそろえて、顎の下から軽く押す。
「顎下腺」 親指を顎の骨の内側のやわらかい部分に当て、耳の下から顎の下まで順番に押す。
【その他】 食事の時にはゆっくりよく噛んで食べることや、笑う・話す・歌うことも、口や口の周りの筋肉を鍛え、唾液の分泌を促すことにつながります。
歯周病は、歯を失う原因の第1位で、歯茎などの歯周組織に炎症が起こり、破壊されていく病気です。 この歯周病は全身に影響を及ぼすことが分かってきています。
脳卒中や心筋梗塞
糖尿病
肥満
早産や低出生体重児出産
認知症
噛む力が弱まることで、肥満や糖尿病など生活習慣病のリスクが高まることも指摘されています。そのため、今年度からスタートした第3期特定健診・特定保健指導事業の問診票に、食事を噛んで食べるときの状態に関する設問が追加になっており、歯や口の状態は、健康を考える上で、必要不可欠になってきています。 お口の健康は、全身の健康、そして健康長寿へとつながります。 ぜひご自身の歯・口の健康を見直してみましょう。
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 「健康づくり」No.474 2017.10 p2-7
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 「健康づくり」No.474 2018.6 p26
SUNSTAR株式会社 歯ッピースマイルクラブ 2018spring vol.27 p2-3
SUNSTAR株式会社ホームページ オーラルフレイル http://jp.sunstar.com/oral-frail/
NHKテキスト今日の健康 2017年6月号 p34-35 歯周病
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