今年も梅雨前線の動きや台風発生のニュースが気になる時期となりましたね。 寝ても寝ても昼間に眠い、ひょっとして・・・ 朝起きたときに疲れが取れていない、よく眠れなかったと感じることはありませんか?また、日中に強い眠気に襲われるということはありませんか?そのような場合、睡眠中の呼吸に問題があり、睡眠の質が低下している可能性が考えられます。
そこで今回は『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』に関するお話です。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)って何? 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)とは、寝ている間に呼吸が止まってしまう病気のことです。日本には睡眠時無呼吸のある人が200万~300万人いるとも考えられています。
一般的に睡眠時無呼吸症候群という場合、「閉塞性睡眠時無呼吸」のことを指します。寝ることで、のどの奥の軟口蓋と呼ばれる器官が下がる、舌の根元が落ち込んでくることから、気道が塞がり呼吸が出来なくなることが原因です。 呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、苦しくなり目が覚めます。目が覚めると再び呼吸し始めますが、眠り出すとまた止まってしまいます。 <なりやすい人>
肥満がある、脂肪が多く首が短い、あごが小さい 等 <サイン> 大きないびき、日中の強い眠気、疲労感(疲れが取れない)、イライラ感、集中力・判断力の低下、等 睡眠時無呼吸症候群による健康へのリスク 【高血圧】
睡眠時に呼吸が止まることで、酸素が不足するため、心臓は全身に酸素を送ろうと働きを強めます。また、無呼吸のたびに脳は覚醒状態となるため、交感神経が優位となり、血管を収縮するホルモンが分泌されます。これにより血圧が高くなります。 【メタボリックシンドローム】 睡眠の質の低下やストレスにより代謝の異常が起こりやすくなります。血糖に関しては、糖の代謝に関わるインスリンの働きが悪くなる、糖質コルチコイドと呼ばれる血糖値を上昇させるホルモンの働きが強まるなどから、糖尿病のリスクが高くなります。 【動脈硬化の進行】 肥満や血圧・血糖・脂質の数値が高くなることで動脈硬化の進行を促進します。また、酸素不足によっても動脈硬化が進行しやすくなります。 【虚血性心疾患、脳血管障害の発症】 動脈硬化が進行すると、自覚症状なく突然心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こす可能生があります。 【事故発生の可能性】 日中の強い眠気や集中力・判断力の低下から、居眠り運転や労働中の災害などのリスクが高くなります。 なお、1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上出現するような場合、前述した心筋梗塞や脳梗塞、生活習慣病等による死亡率が高くなるため、早急な治療が必要です。 いびきや呼吸停止、昼間の眠気が強い場合は、専門の医療機関で検査や治療を受けることが大切です。 検査方法を教えて! 簡易型装置によるスクリーニング検査
ご自宅で実施することができる検査です。指先にセンサーを装着するもの(パルスオキシメーター検査)や、指先・鼻先・お腹にセンサーを装着するものなど医療機関によって取り扱っている装置に種類があります。眠っているときの血液中の酸素濃度や脈拍、呼吸の状態を測定し、無呼吸や低呼吸を推測します。 終夜睡眠ポリグラフ検査 スクリーニング検査で睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合に、1泊の入院にて詳細に検査をします。身体にセンサーをつけて睡眠中の状態を調べる検査で、脳波、眼球運動、筋電図、いびき、心電図などを調べます。 これらの検査から、1時間当たりの無呼吸・低呼吸の頻度を示した『無呼吸・低呼吸指数(AHI)』の数値で重症度を評価していきます。 軽_ 症 : AHI 5~15未満 中等症 : AHI 15~30未満 重_ 症 : AHI 30以上 治療方法を教えて! 軽症の場合:生活改善
肥満の解消(減量)、横向きに寝る、アルコール摂取を控えるなどがあります。 軽症~中等症の場合:生活改善+口腔内装置(マウスピース) マウスピースで下あごを前方に数mm程度移動させ固定し、舌が落ち込むことを予防します。
中等症~重症の場合:生活改善+CPAP(持続陽圧呼吸療法) 睡眠中、鼻に専用マスクを着用し、装置から空気を気道に送り込むことで、睡眠中の気道を広げて無呼吸を防ぎます。
※扁桃肥大やアデノイドにより気道が狭くなっている場合、外科的手術が適応となることがあります。また、睡眠時無呼吸の5~10%で脳や心臓の異常が関係している「中枢性睡眠時無呼吸」である場合があります。検査方法は同じですが、治療方法は原因によって異なります。 最後に・・・ ひょっとして睡眠時無呼吸症候群かも?!と感じたら、スクリーニング検査を受ける・専門の医療機関に相談することを考えてみましょう。ご本人はあまり自覚がなく、ご家族や周りの方のほうが状況を把握しているという場合には、受診時に同伴いただくことも大切なポイントです。 附属診療所のご案内
また、肥満は睡眠時無呼吸症候群の大きな要因の1つです。質の高い睡眠をとり、活き活き毎日を過ごしていけるよう、生活習慣も見直していきましょう! ※今回の記事は以下を参考にいたしました。
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