各地で記録的に早い梅雨入りをしておりますね。 これからが夏本番!暑さに負けず元気に過ごしていきましょう! さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!
この『あんばい』という言葉、何となく使っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
漢字では『塩梅』と書きますね。 これは、調味料の塩と梅酢からきた言葉で、料理の味加減やカラダの具合のことを言います。
そして、料理の味加減に関して、最近よく耳にする『減塩』。 この塩分を減らすということは高血圧の予防などにおいてとても大切です。 ですが、これからの汗をかく季節では塩分の減らし過ぎも危険なんです! そこで今回は、いい塩梅を目指すべく『塩との付き合い方』に関するお話です。
~塩分を摂りすぎると・・・~ 血液の量とナトリウムの濃度が高くなります。 これを元に戻すため腎臓から水分と塩分の排泄を増やす必要があり、血圧を高くすることによってバランスが取られています。 しかしながら高血圧は、慢性腎臓病の発症・重症化に繋がる可能性があります。 また、食塩摂取量が高いほど脳卒中や循環器疾患、胃がん等のリスクが高くなると報告されています。
~塩分が少ない・失うと・・・~ 高温環境での労働や運動時の高度発汗では相当量のナトリウムが喪失されることがあります。 そうなると、頭痛や吐き気が起こり、重症化するとけいれんや意識障害にまで至る可能性もあります。 近年の我が国の夏季の気温の上昇を考慮すると熱中症対策としても適量の食塩摂取が必要であると言われています。
また、高齢者では食欲低下が起きやすく、極端なナトリウム制限(減塩)はエネルギーやたんぱく質を始め多くの栄養素の摂取量の低下を招き、フレイル(虚弱)等に繋がることも考えられます。 高齢者におけるナトリウム制限(減塩)は、健康状態・病態及び摂取量全体を見て柔軟に行う必要があります。
♪プチメモ♪ 厚生労働省より「熱中症予備群の隠れ脱水症の見つけ方」※1 手順はたった2つ! ①手の親指の爪を逆の指でつまみます。 ②つまんだ指を離した時、白かった爪の色がピンクに戻るのに3秒以上かかれば、脱水症を起こしている可能性があります!
【生活習慣病予防を目的とした成人の食塩摂取の1日の目標量】
男性 7.5g未満 女性 6.5g未満
しかし、令和元年度の国民健康・栄養調査の結果では、成人の1日当たりの食塩摂取量の平均値は10.1g(男性10.9g/女性9.3g)です。 男女とも平均3g程度上回っている状況で、このように食塩の過剰摂取は生活習慣病予防の課題のひとつとなっています。 そして、実はこの食塩の約7割を調味料から摂っているのです! ※『塩』として単独に使用する料理だけでなく、全ての調味料に含まれる塩分を食塩に換算して算出。
調味料は料理や食品に味や香りをつけるだけではなく、食品の弾力や粘り・つや・保存性など、料理全体を通してのおいしさを左右する重要な食品です。
調味料を上手に使うためには、それぞれの味の性質を知り、使いこなしていくことが、味覚を満足させ料理をおいしく感じさせることになります。
【調味料】
【食塩相当量 大さじ1(15ml)】
食塩
17.8g
しょうゆ
2.6g
みそ
2.2g
ドレッシングタイプ和風調味料
1.1g
トマトケチャップ
0.5g
マヨネーズ
0.2g
バター(有塩)
0.2g
【調味料】
【食塩相当量】
固形コンソメ(1個)
2.3g
顆粒ガラスープ(小さじ1)
1.3g
和風だしの素(小さじ1)
1.3g
オイスターソース(小さじ1)
2.1g
カレールー(20g)
2g
塩分過剰を防ぐためには、食塩の量をただ減らせばよいというわけではありません。 食塩を無理に控えると、料理がおいしくない・食欲が出ない・食事が楽しくないなど、食生活に悪影響が生じる可能性があります。
組み合わせ 料理を作るときに塩分を控えた分、酢などの酸味や香辛料などの香味や辛味、天然だしのうま味などを利用し組み合わせることで、味の相乗効果が生まれおいしく食べることができます。
もれなく加味 注意点として手軽に利用できる顆粒のだし類・各種たれ類やルー類には塩分が含まれていますので、その分を加味して味付けを行うことも必要です。
きちんと計量 料理を作るときには目分量ではなく、きちんと計量して使いましょう。
直接NG 出来上がった料理にしょうゆやソース・ドレッシングなどを使うときには、皿の底に残るほどかけ過ぎないことや、料理に直接かけず小皿等に調味料をとりわけて、つけながら食べるなどの工夫も必要です。
さて、塩分の話をたくさんしてきましたが、ほっと一息! 夏バテ予防、熱中症予防に『赤しそジュース』はいかがでしょうか。 しその香り成分には食欲増進効果やストレス解消作用があり、更にクエン酸の疲労回復効果もあり、夏にはもってこいです! 高い抗酸化力でアンチエイジング効果もあり女性にも嬉しい! 赤しそは一般的に梅干しを漬け込む時期である6月中旬~7月中旬に出回ります。 しその色素が鮮やかになる瞬間は理科の実験のようで、夏休みにお子様と一緒に作ってみるのもオススメです♪
【材料】
赤しその葉 …200g
砂糖 …500g
クエン酸 …25g
水 …1L
【作り方】
鍋に水を入れ沸騰したら、よく洗った赤しその葉を入れ、5~10分程煮出し、再び沸騰したら火を消し冷まします。
赤しその葉をよく絞って取り出し、煮汁に砂糖を加え、再度火にかけて溶かします。
あら熱が取れたら、クエン酸を入れ、よく混ぜると赤くなり、しその色素が鮮やかになります。
冷めてから布などでこし、よく冷やして5~6倍に薄めてお召し上がりください。
※酸味や甘味はお好みで加減を!
※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書【2021年6月14日閲覧】 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要【2021年6月14日閲覧】 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット 栄養・食生活と高血圧【2021年6月14日閲覧】 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html
厚生労働省 e-ヘルスネット 調味料の上手な使い方【2021年6月14日閲覧】 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-016.html
※1 厚生労働省 熱中症を防止しよう!熱中症予備軍の隠れ脱水症の見つけ方【2021年6月17日閲覧】https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2015/sakuhin5/images/n264_1.pdf
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