我が家では、朝顔と向日葵を種から育てています。梅雨・夏の移り変わりを楽しみたいと思います。 さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!
新型コロナウイルスよりも前から、世界的な大流行(パンデミック)の状態にあると警鐘を鳴らされていることがあります。 それは「身体不活動」です。近代化により便利な生活になったことから生じた「身体不活動」。この「身体不活動」の状態は、世界中の死亡原因となっており、それも喫煙や肥満に匹敵すると考えられています。 この世界に蔓延している身体不活動を減らすため、WHO(世界保健機関)は2018年に『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』とその実践を支援するためのツール『ACTIVE:身体活動を高めるためのテクニカルガイド』を発表しています。 そこで今回は『身体活動』に関するお話です。
私たち人間の総エネルギー消費量(24時間相当)は、大きく3つに分かれます。
基礎代謝量 (約60%) 人が生きていくために最低限必要なエネルギー消費量。
食事誘発性熱産生 (約10%) 食事をとることで増えるエネルギー消費量。
身体活動量 (約30%) 身体を動かすことによって消費されるエネルギー量。
1と2は個人内での変動があまり大きくないため、総エネルギー消費量が多いか少ないかは、3の身体活動量によって決まります。
【身体活動とは】
運動 速歩やウォーキング・ジョギング・体操・ダンス・水泳・テニス など、スポーツや健康維持・ダイエットなど目的を持って行われ る身体活動のこと。
非運動性熱産生 (NEAT:non-exercise activity thermogenesis) 仕事や洗濯・掃除・料理・買い物・ゴミ出しなどの家事、子供と 遊ぶ・子供の世話、通勤や子供の送迎、移動時の歩行や階段利用など、日常生活の中で行う運動以外のエネルギー消費量のこと。
肥満者は非肥満者よりも座っている時間が長く、立っている時間が短かったとする報告や、「座り過ぎ(座位行動)」は総死亡リスクを高めるということも研究で分かっています。 さらには、座っている時間を(ⅱ)NEATの時間に置き換えることにより総死亡リスクを下げる可能性が示めされています。 なお、エネルギー消費量で考えたとき、安静にしている場合を1とすると、立っている場合は1.2倍、歩けば3倍になります!
日本でも3人に1人は身体不活動であると言われています。また、2007年には身体活動不足によって年間52,500人もの方が亡くなっているという研究結果も報告されています。 そこで、厚生労働省では、「健康づくりのための身体活動基準2013」を平成24年に策定し、具体的な方法を示した「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」をガイドラインとし て示しています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple.html
その中では、一人ひとりが毎日プラス10分(歩数で約1000歩)身体活動量を増やすことを促しています。 例えば、体重70kgの高血圧の男性が早歩きを10分間した場合、35kcal余分にエネルギーを消費します。1年365日で12,775kcal消費することとなり、脂肪を1年で1.9kg減らす効果があります。加えて、2~3か月で血圧を1.5mmHg減らす効果も期待できるとされています。 さらに、厚生労働省の研究では、毎日10分身体活動を増やすことで死亡・生活習慣病等発症・がん発症、ロコモや認知症発症のリスクをそれぞれ2.8%、3.6%、3.2%、8.8%減らせることが分かっています。
※「健康づくりのための身体活動基準2013・アクティブガイド」のfacebookも開設されていますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
【お家で・・・】
早起きは三文以上の得?!10分早起きで体操時間。
皿洗い、キッチンからお腹を離そう。
リモコンとソーシャルディスタンスを取ってみよう。
家事こそ最大のチャンス、掃除は立派な運動だ。
湯船や湯上りにストレッチで気持ち良く。
ソファーでテレビ、太ももの上げ下げチャンス。
歯磨き時間、かかとの上げ下げでロコモ予防。
【オフィスでも・・・】
NOエレベーター、YES階段!
トイレ・歯磨き、違う階に行ってみよう。
昼食時の外食や買い物、たまにはちょっと離れた違うお店を。
昼休憩、気分転換にウォーキング。
時間があれば、内線ではなく、直接伝えて職場交流。
【移動の時間も・・・】
電車バス、座らず立てばエクササイズ!
靴選びひとつで代謝UP。
NOエスカレーター、YES階段!
新しい発見も!一駅手前からウォーキング散策。
好きな曲、3曲聞きながら歩いてみよう!
信号待ちもかかとの上げ下げチャンス!
「体を動かすことは健康に良い」ということは、誰しもが分かっているはずなのに、世界的に見ても体を動かさない人が多いということが健康課題として浮き彫りになっています。
体を動かす=運動だけでは決してありません。 運動する時間がない、運動にチャレンジするのはハードルが高い。 そういう場合には、ぜひNEATの時間を増やすことから始めてみませんか? 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自宅で過ごす時間が増えたという方も多いかもしれません。お風呂掃除も窓ふきも歯磨きの時間であっても身体活動のチャンスです!この機会に身体活動チャンスを探してみましょう。
※今回の記事は以下を参考にいたしました。
公益財団法人健康・体力づくり事業財団 「健康づくり」2019.8 No.496 p.2-7
公益財団法人健康・体力づくり事業財団 「健康づくり」2019.4 No.492 p.24
厚生労働省 e-ヘルスネット 身体活動とエネルギー代謝 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html
厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト https://www.smartlife.mhlw.go.jp/
一般財団法人日本予防医学協会 HP https://www.jpm1960.org/ 本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。 Copyright (c) The Association for Preventive Medicine of Japan. All rights reserved.
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