「虫さされ」について

 
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残暑の中にも、ほのかな秋の気配を感じるようになりました。
今年の秋はどんな楽しみが待っていますか?
さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!

 

「虫さされ」について

 

秋になると、森林浴やキャンプ場などのレジャーに出かける方も多いのではないかと思います。山や川などで癒される反面、虫さされにも注意が必要です。
そこで今回は『虫さされ』に関するお話です。

 

「虫さされ」の皮膚症状

 

「虫さされ」の症状は、虫にさされたり、噛まれたり、触れたりすることでおこるアレルギー反応や感染症による症状と、虫によって媒介される病原体による症状があります。

「皮膚症状」には、虫由来の物質に対するアレルギー反応や虫の毒液によって引き起こされる症状があります。
アレルギー反応には、虫にさされたり噛まれたりしてすぐに痒みを伴い、皮膚が赤くなったり膨らんだりして1~2時間で改善する「即時型反応」と、1~2日で症状が出現して数日から1週間程度で改善する「遅延型反応」があります。

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「虫さされ」の全身症状

 

「虫さされ」によって全身症状がおこるのは、アナフィラキシーショックといって、強いアレルギー反応がおこった場合です。
具体的には、全身に蕁麻疹(じんましん)のような皮膚症状が現れ、吐き気や腹痛、息苦しいといった症状を認め、最悪の場合、呼吸困難や血圧低下、ショック症状を引き起こし、死に至る場合もあります。
多くの場合は30分以内に症状が出現するといわれており、緊急の対応が必要です。

 

「虫さされ」の対処

 

「虫さされ」の対処ですが、軽い症状であれば市販の塗り薬を使用してみてください。
痒みが強かったり、広い範囲に症状が出てきたりする場合は、医療機関の受診が必要な場合もあります。ステロイドを含有した塗り薬やアレルギー症状を抑える内服薬での対応となります。
先程示したアナフィラキシー症状を疑う場合は、緊急の治療が必要となるので、必ず医療機関へ受診し、場合によっては救急車での対応が必要です。

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ハチにさされたとき

 

ハチにさされたときの症状は、痛みと皮膚が赤くなることが挙げられます。1回目にさされた時は、多くは1日以内に軽快することが多いのですが、2回目以降はアレルギー反応を伴うことがあり、赤く腫れ、症状が広がることがあります。
ハチにさされた場合に注意が必要なことは、アナフィラキシー症状です。気分が悪くなり、全身に蕁麻疹をみとめ、吐き気や腹痛、息苦しさなどが出現します。

また、呼吸困難や血圧低下から死に至る場合もあります。アナフィラキシー症状は初めてさされた場合にもおこることがあるので注意が必要です。アナフィラキシー症状が疑われる場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

アナフィラキシーショック発症に対する対策・予防としては、「エピペン」というアドレナリン自己注射薬を携帯しておく方法や蜂にさされない様に気をつけるといったことが重要です。
「エピペン」については、医療機関に相談しましょう。

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マダニにさされたとき

 

日本の山野にはマダニが多数生息しています。マダニは大きさが1~3mm程度で、皮膚に噛み付いて吸血します。長時間かけて吸血し、飽血状態になると脱落します。慌てて引き抜こうとすると頭が皮膚に残ってしまうので、マダニをつけたまま皮膚ごと切り取る事が重要です。皮膚が赤くなったり、腫れたり、出血や水膨れなどが生じます。

マダニにさされた場合に注意が必要なことは、マダニが媒介する感染症です。ダニの種類によっては、ライム病や日本紅斑熱、SFTSウイルス感染といった感染症を引き起こす場合もあるので、医療機関の受診が必要な場合もあります。

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ヒアリにさされたとき

 

最近、ヒアリに関するニュースが多いですが、ヒアリにさされたときの症状は、さされた瞬間は熱いと感じるような激しい痛みを感じます。やがて、痒みが強くなり、その後、膿が出ます。症状が強い場合は腫れ上がり、蕁麻疹を伴うことがあります。重症例では、ヒアリにさされた場合もアナフィラキシーショックとなり死に至る場合があります。

ヒアリにさされた直後は20~30分程度は安静にして体調の変化がないか注意が必要です。体質によってはアレルギー反応が出現しアナフィラキシーショックを発症する可能性があるので、容態が急変した場合はすぐに医療機関への受診が必要です。ヒアリの毒は、ハチ毒との共通成分などが含まれているので、ヒアリにさされた経験がなくてもハチ毒アレルギーを持つ方は特に注意が必要です。

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最後に・・・

 

ハチやマダニ、ヒアリ以外に、ムカデやヒル、ブヨなど注意が必要な虫はさまざまです。長袖、長ズボンで肌の露出を避け、防虫スプレーを活用するなどの予防が大切です。
また、虫さされ薬や、虫が嫌う柑橘系のキャンドル(アウトドア用)、毒や毒針を吸い出すポイズンリムーバーなども持参しておくことをお勧めします。
しっかりと対策をして、アウトドアを楽しみましょう!

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※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

  • あたらしい皮膚科学:第2版、清水宏、中山書店
  • 皮膚疾患ペディア:片山一朗ら、日本医師会
  • 蜂毒アレルギーの臨床:平田博国ら、Dokkyo Journal of Medical Sciences
  • 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp
 

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