11月に入り、日ごとに寒さが増してきました。 そろそろおでんやお鍋が恋しい季節ですね。 さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!
食べる瞑想「マインドフル・イーティング」
「マインドフル」「マインドフルネス」という言葉をご存知ですか? 私たちは、今この瞬間を生きているようでいて、実は過去や未来のことを考え心ここにあらず=「マインドネス」の状態が多くの時間を占めています。 このような状態から抜けだし、心を"今この瞬間!"に向け、感情や思考を冷静に認識し、ありのままを受け入れるのが「マインドフルネス」。企業が社員研修に導入するなど、国内外でも広がっています。 その手法として瞑想などが知られていますが、実は日々の食事でもマインドフルネスな状態を作ることができます。 今回は、マインドフルネスを食に応用した、食べる瞑想ともいわれている『マインドフル・イーティング』に関するお話です。
現代人は「マインドレス」な食事になりがち?!
普段の食事の場面を思い出してみましょう。 テレビやスマホなどを見ながら、または作業をしながら「ながら食べ」をしていませんか? 例えば、映画を見ながらポップコーンを食べている時、お腹が空いていなくてもお菓子をつまむ時、ストレス解消のために食べ過ぎる時など…食べたことに満足できないばかりか、気づいたらお腹いっぱいで不快…ということはないでしょうか? このようなマインドレス(心ここにあらず)な食べ方は、満足感や満腹感を感じにくいので、食べすぎや肥満の原因にもなります。 また、噛む回数が減ることによって胃や腸に負担がかります。
少量でも高い満足感のマインドフル・イーティング
マインドフル・イーティングは、米国インディアナ州立大学名誉教授の「ジーン・クリステラー博士」が開発したもので、食事の際、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を全て使うことで、今に意識を向けやすくなり、少量の食事でも満足感が得られます。 食べる量や、食べるスピードを自分でしっかりコントロールし、食材や食感も丁寧に確認します。
マインドフル・イーティングの実践
「レーズンエクササイズ」と呼ばれるレーズンを使った練習もありますが、ここでは日常の食事での方法をご紹介します。 まず、食べる前に2~3回深呼吸をして、自分の意識に集中し、リラックスします。また自分がどれだけ空腹なのかを感じ、身体の内側の声に耳を傾けましょう。
忙しい毎日の中でも可能な範囲で、時間に余裕がある時や食事の最初の一口か二口でも、五感を使って食事をしてみてはいかがでしょうか?
マインドフル・イーティングの効果
実践すると、どんな効果があるのでしょうか?
このように、私たちが毎日必ず摂っている食事の時間を活用することで、自然とマインドフルネスを実践することになり「今を生きる実感」にもつながっていきます。
最後に・・・
私たちが当たり前のように繰り返している「食事」という習慣について一度しっかりと向き合い、3度の食事に心から感謝の気持ちを持ちたいものですね。 また、食事のたびに「咀嚼(そしゃく)・飲み込み・消化・吸収・排泄」という大仕事を日々黙々とこなしてくれている私たちの身体にも、ありがとう!
※今回の記事は次の資料を参考に作成しました。 ジーン・クリステラー,アリサ・ボウマン著,小牧元・大森美香訳 『マインドフル・イーティング 過食から自由になる心理学』株式会社日本評論社,2020年.
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